教育コラム「子どもの考えに賛成できない時の対応」

教育コラム

こんにちは!KEA at home 事務局です。

この度、国際都市神戸でInternational Preschool として実績のある、Kobe English Academyを母体として、KEAのオンラインスクール”KEA at home”をスタートすることに致しました。場所や時間に制限されることなく、子ども達が学べる環境を提供することを目的に、日本各地だけではなく、アジア、世界の中で、第二言語として英語を学ぶ子ども達がクラスメイトとなるようなスクールを目指しています。
KEA at homeのコラムでは、子ども達が伸びる声かけや、子育てに役立つ情報などをご紹介していきます。

KEA at home 第19回コラムも、引き続き子育てコーチングをご専門とする、
江藤真規先生のコラム「子どもの考えに賛成できない時の対応」をご紹介します。

子どもを否定したり、批判したりしたくない。

子どもをしっかりと受容し、自己肯定感を高く保ちたい。

イライラしたり、ガミガミ小言を言ったりする母親にはなりたくない。

だから、子どもの意見をできるだけ受け入れたい。

特に、最近の子育て中の保護者の皆さんには、おおらかな心で子どもを受け入れる親になりたい
という欲求が強くあるように感じます。

日本人の自己肯定感の低さが露呈されていますが、このことが「自分にOKを出せる子ども育て」
への関心につながっているのかもしれません。

しかし、子どもの考えに賛成できない…。

子育ての日常には、当然このような場面もあるはずです。

どこまで子どもを受け入れたら良いのでしょうか。

親としての意見を、どこまで伝えていいのでしょうか。

明確な線引きがないこの問いの答えへの対処を考えていきましょう。

 

受容とは
子どもの意見と自分の意見が異なる時の対応の仕方
1.受容的な態度で話しを聴く
2.自分の考えはIメッセージで伝える
共感と同感を分けて、相互尊重の関係性を築く

 

受容とは

まずは、受容という言葉の意味から考えていきましょう。

受容とは、受け入れること。
相手のありのままを受け入れること」が、受容です。

相手の言葉や感情等を、自分の価値観で評価したり、批判したりすることなく、相手をそのまま受け入れる行為のことを、受容と言います。

しかし、なぜ、子どもを受容する必要があるのでしょうか。

人には、一人の価値ある人間として、生まれながらに尊厳を持つ人間として、受け止められたいという欲求があります。

もちろん子どもも同様です。

よって、子どもに対する受容的な態度は重要、ということになります。

他方、受容とは、相手の欲求や態度をそのまま受け入れることとは異なります。

できないことは「できない」と毅然とした態度で伝えますし、何もかも受け入れるということではありません。

となると、子どもを受容しつつ、自分の意見を伝えることも可能である…ということになりますね。でも、どうやって…?

「それは違うと思う」

「あなたは間違っている」

これでは、信頼関係が崩れ、自分の意見さえも伝わらなくなってしまいます。

子どもの意見と自分の意見が異なる時の対応の仕方

子どもの意見と自分の意見が異なる時には、どう対応すればよいのでしょうか。

否定・批判でもなく、子どもの意見に合わせてしまうわけでもない、「子どもを受容しつつ、自分の意見を伝える」対応の仕方を2つご紹介します。

 

1.受容的な態度で話しを聴く

子どもの話しをまずは一旦受け止める姿勢が必要です。

子どもの意見に賛成、反対、という自分の感情はさておき、「今、子どもがそう思っている」のは事実なのです。この子どもの気持ちを受け止めることが、まずは大切です。

「あなたはそう思っているんだね」

と、子どもの思いを受容する態度で子どもの話を聴きましょう。

話しを聴く際には、自分の心をニュートラルに保つことが必要です。

余計な解釈はつけていないかを確認しながら、

この子はどんな世界を見ているのだろう」と子どもの話を聴いてください。

異なる考え方を相手(この場合子ども)に届けるためには、両者の間に信頼関係が必要です。

「この人は自分のことを深く理解してくれている」
「この人は自分のことを大切に思ってくれている」

という前提があってこそ、その後の言葉が相手に届くようになるはずです。

信頼関係を作るためには、「受容的に聴くこと」が一丁目一番地。

親が自分の話を受容的に聴いてくれることで、子どもは親に信頼感を持ち、その後の話しが届きやすくなるはずです。

2.自分の考えはIメッセージで伝える

とかく子どもへの言葉は評価的、指導的になってしまいがちです。

それは、子どもを守らなければと思うから、そして、親の方が圧倒的に経験則があるからです。

自分が通ってきた道故に、「もっと良くなってもらいたい」という気持ちが、評価的、指導的な言葉を生み出します。

しかし、親子の関係は上下の関係ではありません。

 

「あなたの言うことは間違っている」

「あなたはまだ子どもだから知らないのよ…」

 

このような気持ちで自分の考を示してしまうと、子どもの耳には何も入らなくなってしまいます。

「お母さんは何もわかってくれない」という寂しさや「どうせ自分は駄目なんだ」と、自己評価の低下だけが残ってしまい兼ねません。

伝える際には「お母さんはこう思うよ」とIメッセージで伝えましょう。そう考える「理由」も説明すれば、更に伝わりやすくなるはずです。

※Iメッセージ
私(I)を主語にして伝えるメッセージのこと

「自分はどう思うのか」
「なぜ、そう思うのか」

これをIメッセージ伝え、その上で子どもの気持ちも聴いてみましょう。

「あなたはどう思う?」
「そう思う理由を教えてくれる?」

互いに意見を伝え合うことで、新しい考え方が見つかるかもしれません。

自分の意見を伝え、子どもの意見も聴く。

このやり取りが、親にとっては、子ども理解にもつながるはずです。

 

共感と同感を分けて、相互尊重の関係性を築く

子どもの意見をすべて受け入れる必要はありません。何でも賛成する必要もありません。

しかし、子どもがそう感じているということには共感してあげましょう

そして、子どもの気持ちを理解してあげましょう。

「あなたはそう感じているのね」

このように、共感と同感を区別して考えれば、子どもとの関係性は相互に尊重しあえる関係性となるはずです。

互いに相互尊重の関係を作ったうえで、「これは子どものために伝えなければ」と思う意見がある場合は、しっかり伝えることが必要でしょう。

「あなたの意見はよくわかった。その上で、お母さんはこう考えるんだ」

という具合です。もちろん、そう考える理由も丁寧に説明しましょう。

説得するのではなく、子どもが納得することを目指します。

相互に尊重しあえる関係性があれば、異なる意見は「対立」ではなく、きっと「広がり」になっていくと感じます。

記事執筆 
KEAプログラムコーディネーター
江藤真規

https://saita-coordination.com/

株式会社サイタコーディネーション代表取締役
(サイタコーチングスクール主宰)
博士(教育学)
アカデミックコーチング学会理事

公益財団法人民際センター評議員
一般財団法人教育振興財団理事

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