こんにちは!KEA at home 事務局です。
KEA at homeのコラムでは、子ども達が伸びる声かけや、子育てに役立つ情報などをご紹介していきます。
さて、今回は、教育コラム「幼児期の学び」と「小学生の学び」の違い」です。
KEAのペアレンティング講座でお世話になっている江藤真規先生のコラムです。
こちらのブログは、KEA でご紹介したものになります。
( https://kobe-english-academy.com/kobe-english-academy/learning/)
「幼児期の学び」と「小学生の学び」の違い幼少期の子どもの学びとは何でしょう。その答えは「あそぶこと!」。
子どもは「あそび」を通して様々な発見をし、多くのことを学んでいきます。
幼児期の子どもにとっては、「あそび」こそが学び、ということです。しかし、「幼児教育」「能力開発」「早期教育」など、気になるキーワードが飛び交っているのも事実です。
この時期に大切な学び(あそび)を焦りなくすすめるために、小学校以降の学びと比較しながら、「幼児期の学び」について深めて参りましょう。
幼児期の学び
幼児期とは人生の土台が作られる時期。
この時期の子どもにゆったりと関わることは、とても重要です。
しかし近年は、教育経済学や脳科学の観点から、
「幼児期がもっとも学習の投資効果が高い」
「人間の脳は10歳までに◯割が作られる」
等も示されるようになり、早く何かをやらせねば…と焦りを感じてしまう方も多いかもしれません。しかし、ここで意識を向けなければならないのは、子どもの発達に応じた関わりです。
幼児期に大切なのは、先取りをすることではない、ということです。
文字を覚えたり、数字を覚えたり、もちろん好きな子どもは、興味に合わせて広げていけばいいのですが、「早くできるようになる」は、この時期に追求すべき考え方ではありません。
幼児期とは、ゴールに到達することよりも、ゴールに到達する「プロセス」を大切にしたい時期。
早く正確に何かができるようになることが重要なのではなく、それができるようになる過程が大切なのです。
興味があることに没頭したり、ワクワクの体験をしたり、好奇心が膨らんだり…。
うまくいかない経験も、もちろんとても重要です。
うまくいかないからこそ、頑張ってやりとげようとしますし、「頑張ったらできた!」も経験することができるのです。こういった経験を、ゴールに向かう過程で積んでいくことこそが、幼児期の大切な学びということです。
では、幼児期の学びを加速させるために、大人はどう関わればいいのでしょうか。
個人差が大きく、その違いを大切にしたい時期ゆえに、「一人ひとりに寄り添う」姿勢が重要です。「皆と一緒のことができるように」よりも「自分の好きを追求する」を大切にするよう、関わっていくことが大切です。
小学校以降の学びとの違い
小学校以降の学びについて見ていきましょう。
小学校以降は、一斉授業が始まります。
個人の興味重視の世界から離れ、一般的には、与えられた課題に沿って学びを進めていくことが求められるようになります。
1年生には1年生の、2年生には2年生の学ぶべきカリキュラムがあり、それをこなすのが小学校以降の学びということです。
「一人ひとりの興味に合わせて」から、「与えられた課題を自分ごと化し、そこに興味をもって取り組んでいく」が、求められるようになるということ。
子どもにとっては、全く異なる環境です。
「幼児期の学び」と「小学生の学び」には、こんなにも大きな違いがあるのです。
幼児期には、個人の興味関心に合わせた対応、学びの楽しさを実感する経験等、幼児期にしかできない学びを経験させてあげたいものです。
小学校に上がるまでは、あっという間に過ぎ去る短い期間、その時期にしか経験できない学びを是非とも大切にしていただきたいと思います。
それが学びの土台となるのだと感じます。
親子で楽しむ!幼児期のあそびの工夫
ここでは、親子で楽しめるあそびの工夫をご紹介したいと思います。
体験としてのあそびの工夫
子どもは、放っておけば勝手に遊んでいるものです。
特に戸外や自然環境があるところでは、いろいろな材料を見つけて子どもはあそびを創造していきます。
しかし、今どきの住宅環境(特に都心)においては、「便利すぎる」、「やってはいけないことが多すぎる」など、子どもが自由に遊べる環境は保障されていません。
あそびを促す環境をつくるためには工夫も必要です。
あそびの材料としては、例えば廃材利用はおすすめです。
トイレットペーパーの芯、食品トレイ、プリンなどの空きカップやペットボトル等。
「決まったあそび方がない」これらの廃材があれば、子どもは自由に創造しながらあそびを展開していきます。
廃材ですから壊してもOK。
ぐちゃぐちゃにしても、壊しても怒られません。
あそびの自由度が増すとともに、ダイナミックなあそびにも繋がります。
使ったあとは、一緒にSDGsの観点から、どう処分するか考えてみてもよいですね。自然に触れる、外あそびはとても大切です。
ありとあらゆるものがあるのが自然環境です。原っぱに座っているだけでも、子どもはいろいろなものを発見し、「なぜだろう?」と探究していきます。
また、自然は懐が広いので、飛んでもはねても怒られません。
思いっきりボールを投げることもできるのです。
体をダイナミックに動かし、やりたいことを我慢せずに行えるのは、自然環境が一番です。週末等を利用して、戸外に出てみると、新しい子ども発見があるかもしれません。
また、あそびにおいては、子どもに任せる時間をもたせることが大切です。
あそびとは、自分で考えて楽しむこと。
いたずらも大切な探索活動であり、ギリギリのところまで、子どもに任せることが、質の高いあそびにつながります。
あそびのルールも子どもに作らせましょう。
もちろん、やってはいけないことは伝えなければなりませんが、子ども同士のあそびルールは、子ども同士のやりとりから生まれていくもの。大人のものさしに合わせて評価、意見をせずに見守っていく姿勢が大切です。
言葉かけの工夫
周囲の大人がどのような言葉をかけるかで、あそびの質は高まります。
例えば、なかなかうまく行かないけれども頑張って取り組んでいる時、大人が手助けをすることは簡単でしょう。
しかし、ここは見守って待つ。余計な言葉かけをしないことも、言葉かけの工夫として大切です。また、問いをもって探求する姿勢も、あそびの質を高めます。
そのために、「どうしたらうまくいくかな」「次はどうやってみみょうか」など、子どもに問いを投げていくことは大切です。親子対話に是非とも質問を意識してみてください。
さらに、子どもがやってはいけないことをしてしまったとしましょう。
その時に「駄目」と叱りつけるのは簡単ですが、失敗経験こそ、学びの質を高める経験となるものです。
理由も言わずに、禁止をするのではなく、「なぜ、駄目なのか」「どうしたらいいのか」を説明してあげましょう。
たとえ幼児期の子どもであっても、親が心をこめて説明することで、理解することができるはず。
次は自分で判断できるように、理由を説明する、教えていく。このような姿勢が幼児期の学びの質を高めます。
時には「まあ、いいか!」も大切に
幼児期には、一人ひとりの子どもに寄り添い、豊かな経験をさせてあげることが大切です。
もちろん、しつけは大切ですが、自由にさせられる範囲内では、是非とも子どもに自由を与え、自由にあそばせてあげましょう。
時には「まあ、いいか!」と、親の許容範囲を広げてあげるのもいいかもしれません。
許容範囲が広がれば、子どもはより想像力を働かせ、より楽しくあそべるように思います。
今しかできない「豊かなあそび経験」を、是非大切にしてください。
記事執筆
KEAプログラムコーディネーター
江藤真規
https://saita-coordination.com/株式会社サイタコーディネーション代表取締役
(サイタコーチングスクール主宰)
博士(教育学)
アカデミックコーチング学会理事
公益財団法人民際センター評議員
一般財団法人教育振興財団理事
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